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株式会社LIFULL Marketing Partners:提案準備の負の連鎖を断ち切る! LMPが目指すデータの資産化とその活用の未来とは?(前編)

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(左から)株式会社LIFULL Marketing Partners横井靖弘氏・野間裕登氏・松井裕希氏

株式会社LIFULL Marketing Partners(以下、LMP)はLIFULL HOME’Sを運営するLIFULLグループの広告代理店だ。

不動産を主にオンライン広告の運用を手がけている。データが社内に散在し、共有もされていなかった。そのため、営業が提案資料を作成するたびに、膨大な時間をかけてデータを集め、集約する作業が発生。結果として分析にほとんど時間が割けず、提案の質が向上しづらかった。

さらに、個々の営業力に頼った状況で提案資料やレポートの属人化が進み、提案の標準化もままならず、「提案準備の負の連鎖」が存在していた。

そこで、「負の連鎖」を断ち切り、一段上の提案を実現させるべく、Datoramaを導入し、データ統合基盤整備に着手した。そのプロジェクトを中心となって推進した同社ソリューション本部メディア部マーケティングGのG長 野間裕登氏、同松井裕希氏・横井靖弘氏にお話を伺った。

「提案準備の負の連鎖」

LMPの野間氏ら3人が所属するマーケティングGは以下の2つの役割を担っている。

  1. Datoramaを活用した新しい分析軸の確立を目的として、社内レポートのdatorama化を推進
  2. お客様の広告出稿最適化を目標に、営業の売上創出、提案の型化を戦略的にサポート

また営業へのサポートだけでなく、実際にマーケティングGの案件としてお客様と向き合いながら、デジタルマーケティングを軸にコミュニケーション戦略にまつわる各種施策の提示、実運用まで行うなど、営業の役割も担うケースもあるという。

実はこの部署は昨年のDatorama導入に伴い10月に立ち上がったばかりだ。それ以前はプランニング部として主に2の役割を担っていた(このグループ創設の意義については後編で詳述する)。

野間氏は営業部時代から、社内の大きな課題と捉えていたのが、図にある「提案準備の負の連鎖」だ。

負の連鎖とは?(下図も参照)

1. LMP社内に情報が散らばっていて提案準備に時間がかかる

   →際限なく手間がかかる状況で営業の負荷が大きい

2. 分析に時間が割けない

  →改善の入り口となる「想定外の気づき」が得られない

3. 提案の質の向上が困難

    →もっていく提案内容では顧客満足度が上がりにくい

4. 提案の質を向上させたくとも、標準的方法論がない

   →ノウハウが属人化し、横展開されず、共有もされない

5. 仕方がないので自らで試行錯誤

   →検証まで含めた取り組みを持続できないため再現性がない

 

結果1に戻り、いつまでも属人化が解消されない状況に陥っていた。

 

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提案の「負の連鎖」

このように、社内に膨大なデータがありながら、共有されず、活用もされないままであった。

例えば、新築マンション案件では、事前にだいたいのオンライン・オフラインメディアの広告費配分が決まっている。

理想としては、社内にあるマスメディアやオンラインを通じてのモデルルーム訪問予約数・資料ダウンロード数など反響データを通じて、最適な提案ができるはずだった。

しかし効果的なクロスチャネル提案はできない状況だった。前述の「負の連鎖」が立ちはだかっていたためだ。

データの散在・膨大な作業時間・少ない分析時間・業務の属人化により、この連鎖を断ち切ることができていなかった。

社内のこうした課題に加えて、外部からも脅威が訪れていた。

大手デジタル広告代理店が不動産市場に参入し始めたのだ。

従来、不動産業界では、LMPをはじめとした不動産に詳しいデジタル広告代理店が広告を受注してきた。しかし、近年、大手デジタル広告代理店も参入。

お客様も大手も入れたコンペを通じて代理店を決定するなど、競争環境が大きく変化したのだ。

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Datoramaプロジェクトの推進役である野間裕登氏

「不動産業界ではデジタル化の波が他業界に比べ3年遅れていると言われており、今がまさにその時期です。経験値・知見が豊富な大手の提案に対して、不動産特化型の代理店が失注することも増え、このままでは事業成長が厳しくなる」と社外環境に対しても大きな危機感を抱いたと野間氏は言う。

競争環境が激化する中で、従来通り提案準備の「作業」にほとんどの時間を費やし、質の高い分析ができないようでは他競合との競争で負ける、という点で非常に危機感を抱き、それを周囲に共有し、営業にも発信し始めたという。

「不動産業界はWEB上でコンバージョンが完結せず、他業界と比べ営業の影響力がかなり強い業界といえます。これまでは『不動産に詳しい小回りの利くWEB代理店』が重宝されていましたが、今、お客様が求めているのは『デジタルマーケティングに高い水準で精通しており、集客のパートナーとして二人三脚で歩める存在』へと少しずつ変わってきているのだと感じていました。外部環境が変わってきている中早々に対応しないと生き残れない」と野間氏は考えていた。

現状とあるべき姿〜そのギャップを埋める〜

そうした危機感の中で、どう現状を打破するか。その指針の一つとなったのが、LMPの中期経営計画のビジョンだった。

2021年不動産・住宅領域における顧客満足度・従業員満足度No1エージェンシー」

2025年不動産・住宅領域におけるデジタルソリューションカンパニーへ」

この二つを達成するには、現在の属人化した業務を標準化することが求められる。

そこで、ビジョン達成のための戦略として「ビジョン実現に向けたビジネスの拡大基盤の整備」が必要であると考え、その戦略推進の必要な仕組みとして「レポート基盤の整備・自動化/戦略的業務への業務移管/顧客満足度向上の両方を達成できる方法」を探し始めた。

まずはデータを統合し、一元管理を実現しつつ、営業の効率化が可能なツールとして、多くのBIやレポートツールを検討し始めた。しかし、なかなか自分たちの条件に叶うものが見つからない状態が1年続いたという。

「当初はデータの一元化が可能で比較的低価格なものという漠然とした条件で探していました。結局、エンジニアが必要な高度なものや全く不向きなものまで存在し、導入の決め手に欠けていた」と野間氏は振り返る。その時マーケティングインテリジェンス・プラットフォームであるDatoramaと出会った。導入のポイントは下記4つだったと野間氏は話す。

  1. マーケティングデータの集計基盤足りうる
  2. クラウド型プラットフォームで導入が容易
  3. マーケティングプラットフォームなど各種API連携が豊富
  4. 営業がメインで使用できる

これに加えて導入を後押ししたのが昨年5月開催のDatoramaの年次イベント「Limitless Tokyo」でのオムニバス様xトヨタ自動車様の事例登壇だった。

「案件の規模感、課題感が非常によく似ていました。ダッシュボードを構築し、リアルタイムでお客様と実績が把握できているので、次の打ち手を考え、試し、結果を確認し、次のアクションを実施するPDCAが高速でタイムリーに回せる。

なによりもそこにお客様側が賛同し、マネタイズを実現していることが、クライアントと代理店がパートナーとなって既存の代理店モデルを改革した点がまさに弊社として理想形でした」と野間氏。

そこで、上長から経営陣に上げ、経営会議で正式に導入が決定した。実は営業部長陣・経営陣も野間氏が抱いていた危機感を共有しており、提案に対して感謝の言葉を伝えた経営陣もいたという。

そこから「レポート基盤の整備・自動化」について、あるべき姿=ゴールに到達するまで3段階のロードマップが敷かれた。

  1. 現行レポートオペレーションを棚卸しし、Datoramaで自動化する
  2. クライアントへのレポート提供を自動化することでミスや手戻り、問い合わせの数を減らし、顧客満足度を高める
  3. 営業が分析業務にフォーカスできることで、分析成果の向上、社内ノウハウの蓄積を実現し、分析、提案品質の維持向上を実現できる

現在、1から2へ徐々に移行中だ。

ここで注目は1だ。属人化されている業務の棚卸しは、文字になっていないだけになかなか手間と時間がかかる作業だ。求める答えがなかなか返ってこないこともある。

その点について野間氏は「普段、頭の中にだけ存在するものを引き出すには、質問方法など様々な工夫が必要でした。ただ、社内の皆が協力的で、1〜2ヶ月で概ね終了しました。そこはスピード感を持って実行できました」と話す。

また2はDatorama導入効果が最初に見えやすい部分だ。人間の手作業では、どうしてもコピペミスなどが発生する。そして、複数の目でチェックしても残り、お客様がそのミスを発見する場合もある。

「それではお客様満足度は低下します。しかも何回もチェックをする意味があるのかと。それこそ、システム導入で自動化すればいいと考えていました」と野間氏はいう。

そして、レポート作成などシステムに任せればいい部分は任せ、営業は本来最も時間と頭を使うべき分析に注力し、提案品質の向上と共有を進めることで、属人化による負の連鎖から脱却し、社内全体の底上げ実現が目指せる。

「レポート基盤の整備・自動化」の目処がついたら、次に「戦略的業務への業務移管/顧客満足度向上」へとフェーズを移行する。こちらも同じく3段階で検討中だ。

  1. 運用レポートに加えたマーケティング統合提案の基盤を作る
  2. Google Analytics分析、ソーシャルメディアなど、広告運用業務外のデータ整理・分析提案をサービス化し、新しい売上源泉としてクライアント提案を行う
  3. ゆくゆくはダッシュボード導入提案自体を他代理店との差別化ポイントとして訴求し、新規メディアピッチの受注拡大を目指す

2と3は、まさにオムニバス様同様のマネタイズの路線だ。

前述したように、不動産広告業界には大手オンライン広告代理店が参入し、競争が激化している。その中で生き残り、売上を伸ばしていくには、LMPが培ってきた不動産業界の知識を生かしたコンサルティング業務がポイントになる。「レポート費用はレポート費用以上になりません。しかし、コンサルティングならば、内容に応じて価格設定ができるため、マネタイズの契機となります」と野間氏は話す。

社内浸透と定着には「早めにわかりやすい成果を出すのがポイント」

Datoramaプロジェクトのお披露目会を昨年11月に開催。そこから本格的な導入が始まった。そこで大きな壁になったのが営業の意識改革だった。LMPでは200〜300案件を運用しているが、営業とお客様間で独自の取り決めによるレポートが約40種類存在していた。

それをDatoramaで統一化する際、当然ながら営業からの反発が生じた。

すでにお客様と世界観を築いてきた営業にとって、統一レポートのメリットはなかなか理解しづらいものだった。

そのため、広告運用担当者は運用全体を俯瞰できる利点やデータを資産化することのメリットを伝えながら、粘り強く数十回もの折衝を重ねて、営業の意見も取り入れた統一レポート作成への道のりを整えていった。

「営業のレポートを活かしながらも統一レポート化することを納得してもらうには時間がかかりました。そこでポイントとなるのは『早めに分かりやすい成果』を出すことです」と野間氏は述べる。

「提案準備の時間が短縮」「新たな分析ポイントの発見」など小さな成功の積み重ねを通じて、営業に具体的なメリットを体感してもらうことが大切だった。

 

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実装を担当した松井氏

 

そのために、Datoramaを活用したパイロット案件を決めた。お客様との関係値が深く、良好な案件を選択。レポートのDatorama化を推進し、形にしていった。

プロジェクトの手応えという点では、「営業責任者と一緒に進めていたのですが、これはLMPの武器になると話し、手応えを感じていました。また、一番手応えを感じたのは、営業の働き方改革です。分析に時間をかけ、提案の質も向上すれば、自分の成長も感じられて、仕事も楽しくなり、社内文化もポジティブになると見ています」と野間氏はいう。

社内文化については、営業が楽しいとより感じてもらうことで、仕事に対してポジティブに取り組んでもらえる環境を整えることだ。

さらに、提案の質が向上し、お客様へ価値提供をすることで、お客様の事業成長が見え、その結果お客様から「LMPのおかげです」と言われるようになれば、一層仕事に対して積極的かつ楽しみを持って取り組めるのではと野間氏は話す。

今の属人化した提案では、準備時間ばかりかかるという非常にもったいない状況であり、そうした部分もDatoramaで改善したいという。

一方で、パイロット案件は順調に進んだが、まだまだ営業がDatoramaを活用する道のりは長く、道半ばといったところだという。

「我々のチームが『Datorama活用のお手本』を示すことが重要と見ています。ダッシュボードのここに注目して、分析・改善提案をしていますと社内に発信することで、営業の理解も進むのでは」と野間氏は指摘する。


また、実装を担当した横井氏は、導入を進める中で、推進のポイントを発見したという。例えば、レポートを統一化するには、従来のレポート作成の過程をも知らないと、営業の意向を汲み取った形にはならない。

そのため、営業との細かなコミュニケーションを通じて、彼らが必要としている数値をヒアリングし、それをレポートに盛り込むことが、社内定着・浸透のカギになると話す。

今後KPIも統一化する流れだが、そこも営業との密な連携が重要になる。

同じく実装を担当した松井氏も営業のレポート表現とDatorama上で可能な表現のすり合わせが重要であり、その点を営業メンバーに発信しているという。

当然ながらエクセルでの表現をそのまま移植しても意味がない。そのため営業からの要望を聞きつつ、Datoramaでの最適表現を提案していったと話す。

「エクセルで棒グラフだったものを、Datoramaなら他の関連データも加味した別の表現が良いですよ、など営業メンバーに伝えて、レポートの形を整えていきました」と松井氏。

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同じく実装を担当した横井氏

 

全体的に「他部署との連携」はもちろん、自社とクライアントのビジネスモデルを理解することが非常に重要だったと横井氏は述べる。

「お客様のビジネスモデルを理解しないことには、最適なダッシュボード設計もできません。お客様ごとに戦略・施策目的などが違うので、そういったビジネス視点を取り入れて、Datorama化を進める必要があります」と同氏。

 

Datorama導入から今後の展望については後編に続きます。乞うご期待!