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The Trade Desk Japan株式会社:レポート作成省力化・データ可視化からインサイト提供までを実現

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右からThe Trade Deskカントリーマネージャーの新谷哲也氏、トレーディング・スペシャリストの荒木伸子氏

 広告会社及びトレーディングデスクにDSP(Demand-Side Platform)を提供するThe Trade Desk(以下、TTD)は、Datoramaとはデータ統合パートナーだが、日本ではユーザーとしてもDatoramaを導入している。なぜ日本ではユーザーとしてDatoramaを導入したのか?同社カントリーマネージャーの新谷哲也氏とトレーディング・スペシャリストの荒木伸子氏にお話を伺った。

TTDではDatorama導入にあたり、下記3つのフェーズを設定し、全ての実現を目指した。

  1. デイリーレポートの自動化—生産性の向上・価値の高い業務への時間再配分
  2. 全データ可視化—TTDが提供している多くのデータの価値を可視化
  3. インサイトの提供—データ分析とインサイト

1に関しては、TTDでも他社事例同様、毎日のレポート作成に大幅な時間を取られ、アカウントマネージャーやトレーダーたちの大きな負担になっていた。日本支社は2014年に立ち上がったばかりで、まだ少数精鋭のチーム。レポート作成に時間を取られるあまりに、営業機会損失に陥ることは避けたかった。そのためこの課題解決が急務だった。

 2に関しては、TTDの特徴は、ピボットテーブルで豊富なレポートをダウンロードできる点だが、このレポートが運用者以外は有効に使いこなせていない課題があった。

「広告代理店の運用者やトレーディングデスクのトレーダーにとって、エクセルレポートはとても有益です。しかし、それ以外の人は、エクセルだととても情報量が多いので、あまり見る気にならないという課題がありました」と新谷氏。TTDのデータは、PDCAを回し、インサイトを得るための宝の山と言えるにもかかわらず、エクセルレポートの情報量の多さゆえに、十全に活用されているとは言いがたかった。

「TTDのデータを見て、キャンペーンやアドグループごとにオプティマイズを容易にすることが可能なのですが、それ以前にTTDのエクセルレポートを使っていただけない。情報量が多いゆえのレポートへの抵抗感がありました」と荒木氏。そのため、TTD上の多くのデータを可視化し、まずは見てもらうことを目指した。どれほどのデータがTTDの中に眠っているのかを見える化し、データが次の打ち手作りから、キャンペーンの最適化を容易にする資産であることを示そうとした。そして、そこからTTDが得意とする豊富なレポートを活用してもらおうという考えだ。

 そこから、3の「インサイト提供」に繋がっていく。可視化されたデータとレポートから、インサイトを導き、クライアントである広告代理店に提供していき、そこから、TTDを活用した広告運用から戦略作りをサポートしようという考えだ。

この3つを実現しようとした時、「Datoramaが候補に上がった」と新谷氏。「他のツールは考えませんでした。もともとグローバルではデータ統合パートナーとして強固な地位を築いていましたし、使い勝手の良さがありました」と同氏。

DatoramaとTableauを使い分け、日常業務を効率化

Datorama以外に他のツールは比較検討はしなかったと話す新谷氏。前述したように、DatoramaはTTDとはデータ統合パートナーとして強固なパートナーシップを築いているが、可視化ツールとしてはグローバルではTableauを使用している。「米国には専属のTableauチームがいて、分析やレポート作成を依頼すればいいのですが、日本はどうしても地理的にもリソース的にも課題がありました。端的に、依頼しても時差が生じますから、本国のように即座に欲しいものがすぐに手に入らないもどかしさがありました」と話す。「日本は私たちのようなトレーダー・営業・アカウントマネジメントとビジネスユーザーばかりです。TableauではデータベースやBIの知識を持たない私たちにはハードルが少し高く、使いづらかったんです」とTableau使いの難しさを荒木氏は指摘する。

その点、Datoramaはあらかじめデータモデルが実装されており、ビジネスユーザーが使いやすいよう環境が整っている。「DatoramaはEasy to Useでした」と新谷氏は話す。本国に予算を相談した際は、レポート業務に係る工数と労働時間などの省力化・効率化の課題を伝え、予算を得たという。「それほど反対はありませんでした。むしろ、どんどん使ってみたらという姿勢だった」と新谷氏。

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 そこでDatoramaを導入。今はTableauとうまく使い分けし、共存している。

Tableauでは全世界の広告在庫や地域ごとの平均CPMなどの各種データ管理と、ひな形化されている四半期ごとの事業レポート(Quarterly Business Report)作成など、主に広告キャンペーンの各種問い合わせ対応に活用し、スタート後はDatoramaを使っている。「でも日常業務でよく使うのはDatoramaの方ですね。毎日のキャンペーンデータの分析が重要ですから」と両氏。

とはいえ、導入中の課題もあった。「キャンペーン名の統一などが課題ですね」と同氏。荒木氏は「試行錯誤しながら学んだので、ディメンジョンやメディアバイキー(出稿先媒体名などのこと。データの紐付けに必須の項目)の設計が甘かったことがあります。TTDは何十種類のレポートが作成可能ですが、同じキャンペーンの異なるレポートを数種類入れると、eCPM等どのレポートにもある指標が複数できてしまい、命名方法を再検討しました」。そのほかの統合に関しては、特に問題はなかったと話す。 

Datorama導入でフェーズ1〜3を実現 

Datorama導入により、TTDのデータをDatoramaへ統合し、レポート作成を自動化し、急務の課題解決を実現。さらに、クライアント企業データとTTDデータの統合も自動化も実現している。「導入前まではクライアント企業さんから頂いたエクセルレポートをエクセルのレポートフォーマットにコピーしてVLOOKUPを2回実行したりと手間がかかりました。毎日データを見るので、すぐに変化に気付き対応できるのは良かったですが、統合データとしてダッシュボードで見える方がはるかにデータ活用が簡単です」と新谷氏。

導入直後から、レポート作成の課題は解決され、TTD上のデータ可視化も実現でき、フェーズ1、2は実現。そこで次はフェーズ3、インサイトの提供を目指した。

「フェーズ1と2は主にキャンペーンのPDCAを早く回すことに重点を置いた施策でしたが、一方でどの様に広告主様や代理店の営業の方々へProgrammatic Buyingの価値を伝えていくか?と考えた時に、インサイトの提供が必要ではないか?と考えました」と新谷氏。前述のとおりTTDは様々なデータを提供しているので、そのデータを体系立てて、Datorama上でグラフ化していくことでキャンペーンの現状や改善ポイントが容易に把握できる様になり、インサイトを容易に発見できるようになった。

3つのフェーズを達成、その後の展望は?

当初の課題である3つのフェーズを達成し、その後について伺った。

データからの価値創造をサポートする一環として、一つ考えているのはブックレット形式の詳細なレポート提供だ。「全データの可視化を達成したので、次は50枚〜100枚のブックレットレポート提供を検討しています。可視化して、さらにボタン一つでレポート作成するところまで実行できるのを目指しています。そうすることによって代理店さんがインサイトレポート作成の工数を削減でき、今まで以上に付加価値の高い作業に集中していただけるのではないかと考えています」。

このレポートへの想いは新谷氏の前職時代からの長い経験から発している。デジタル広告の初期から広告キャンペーンの実績・購入実績などのデータを、パワーポイント形式のレポートとして作成。当時からテンプレート化して、クライアントごとのデータを貼り付け、分析結果をコメントして提出していた。「広告主さんへ広告の成果を見える形で渡すためでした。エクセルレポートでは結局よく分からないからです」と同氏。だからこそ、TTDで広告代理店のサポートをする上で、レポート化し、ひとつの形として広告主まで届けることを目指している。これもインサイト提供のひとつの形と言える。3つのフェーズを達成した今、新谷氏が何よりも強く目指すのは「インサイトを代理店にトランスファーすること」だ。

「TTDとしてはインサイトを代理店にトランスファーしたいと考えています。TTDとDatoramaを使うことで創造される付加価値を、広告代理店やトレーディングデスクから広告主に向けて提供して頂きたいです」と新谷氏。

前述のブックレットもその一環だ。「そのために、まずはTTDが率先してインサイトを提供していきたいと思っています。豊富なデータを分析し、駆使することで、単なる広告運用ではなく、新しい価値を創造できることを代理店の方々に啓蒙させて頂ければと考えています。代理店が価値創造することをサポートしたいんです。代理店も広告主からの信頼を得ることができるなら、私たちへの信頼感も向上します」と述べ、さらに「Datoramaを通じてTTDのデータにはこれだけの付加価値があると伝えたい」。

そのためにも「啓蒙活動が重要」と強調する。「『Datoramaと契約しませんか?』と言っているくらいですよ」と笑う。荒木氏は啓蒙の一環として「TTDのデータ活用方法などをトレーニングプログラムをオンラインで学べる環境作りを進めています」と話す。

インサイトの提供・啓蒙を通じて、関係する誰もがwin-winになるエコシステム構築を目指している。

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また昨今叫ばれる広告の透明性に関しても、TTDは非常に意識している。もともと、グローバルで透明性が高い情報を広告代理店やトレーディングデスクへ提供し、一緒になって広告主の効果を高めていき、一緒に業界を育てていくという戦略を持っている。その点に関して、「透明性の確保は管理画面を解放するといったことではなく、TTDやDatoramaのダッシュボードを使って、第三者の介入がないデータをきちんと広告主さんへ提供することが透明性確保と言えるのではないでしょうか」とただ何でも見せればいいというわけではないと指摘する。

最後に、デジタル広告業界で18年以上の経験を持つ新谷氏に今後の業界への展望を伺った。

「難しい質問ですね(苦笑)。毎年新しいアドテクノロジーやプラットフォームが生まれ、ますます、細かく広告配信ができるようになっています。でも、最近はそれが少し細かくなりすぎている様な気がします。もちろんその細かな要求にも応えることができるのがTTDですが、購買直前のオーディエンスに細かく配信してCPAを評価するだけにアドテクノロジーを使うのではなく、購買ファネルの上の方のオーディエンスにどの様にリーチして、その結果をどの様に評価していくのかといったところにアドテクノロジーを利用していくことが必要ではないでしょうか。これは展望というより課題かもしれませんね」。